スカーフェイス

DVDで。1983年。監督ブライアン・デ・パルマ、脚本オリヴァー・ストーン。1932年のギャング映画「暗黒街の顔役」のリメイク。主役である、キューバ移民から成り上がっていくギャングを、アル・パチーノが演じる。

見ようと思ったきっかけは、町山さんが、「町山智浩アメリカ映画特電」の第4回「特別編『映画秘宝の歴史』」(→mp3はこちら)で、蓮實重彦(と蓮實的な評論スタイル)を嫌いになったきっかけの作品として紹介するのを聞いたから。もちろん町山さんはスカーフェイスを支持する立場。ちなみにこのエピソードを話す町山さんの怒りのテンションは半端でなく、この人の狂気が垣間見えるかのよう。そういう意味で、このポッドキャストはなかなか貴重な記録。

映画自体は特別面白いとは思えなかった。"成り上がってはみたものの"という典型的なストーリー。登場人物間の会話シーンばかりで、例えば麻薬を密輸する、捌くというプロセス、アル・パチーノがいかにして実力を発揮し、成り上がったかのリアリティを支えるエピソードに欠ける。

本映画を「カルト映画」足らしめた理由である、残虐描写や4文字言葉の連呼も、今の視点から見れば、特別インパクトがあるものとは感じない。

でも、実はこの映画170分もある。なんで退屈しなかったのか。ちょっと考えてみると、170分間、そのほとんどにアル・パチーノが映っているのだ。田舎者で野暮ったく教養もない、けれども野心と狂犬のような凶暴さをもった男を演じるアル・パチーノ。要は、アル・パチーノの入魂の演技が、とにかく飽きさせないのだ。


スカーフェイス [DVD]

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