カールじいさんの空飛ぶ家

エンドクレジットで涙が。最近は、作品の内容以上に、その作品の作り手の真摯で良心的な姿勢に、そしてそれをビジネスと両立できている現実に感動してしまう。世界には、まだこんなに手間がかかった、凄いものを作る人たちがいるのだ。

3D版を吹き替えで。最近の3D映画は初めて見たのだが、随分見やすくなっているのだな。おそらく、偏光板で映像を分けるのではなく、画像と同期させてシャッターを開閉させる方式。また使い方も憎くて、これ見よがしに飛び出してくる演出をするのではなく(まぁ、3Dでない映画館もあるので、当り前ではあるのだろうが)、画面に自然な奥行きを与えるのに使っている。もともと立体造形のアニメーションであることもあり、とても自然で効果的。また、高いところから下を眺めるシーンで、本当に高いところから下を覗きこんでいるような、生理的な恐怖の感覚が起こったのも印象的だった。あと、視野角が同じなため、浮き出して見えるスクリーンは通常より近く、結果としてスクリーンが小さくも見えた。

モノの質感表現、アニメーションの魅力あふれる動きの表現など視覚的な快楽に満ち溢れている。正直、あまりストーリーを味わうことができなかったほどだ。トラブルで最初の5分が見れなかったこともあるので、もう一度、今度は通常版を字幕で見てみよう。

原題は『UP』なのだな。ふーん。これについては、邦題の方が好きだなぁ。

2009年、米、103分。監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン

予告編