チェンジリング

映像、音楽含め、印象的なエピソードがテンコ盛り。だが、個々のエピソードは“印象的”なのだが、全体を貫くテーマがよく分からないため(複数あるように思え、かつその優先順位や関係が整理しきれていない)、全体としての印象がいまいち薄い。クリント・イーストウッドの映画によく感じる“良さ気”な映画になっている気がしたなぁ。

ちなみにタイトルの意味は「取り替え子」だとか。なるほど。

2008年、米、142分。監督、製作、音楽:クリント・イーストウッド。出演:アンジェリーナ・ジョリー、ガトリン・グリフィス、ジョン・マルコビッチ、ジェフリー・ドノバン 他

リアリティの見せ方も工夫の余地があるかもしれない。この映画、実話ベースらしいのだが、見ている間、本当にこんなことがあるのか、と思わされる場面、エピソードが多数出てきて、見てる側としてリアリティを持てなくなる瞬間が時折あった。この手の映画でリアリティがないって致命的なのではないか。監督、出演者のインタビューを見ると、彼ら自身も脚本に同様な感想を持っていたよう。であればなおさら、エンターテイメント的な演出を控えてでも、如何にリアリティを繋ぎとめるかに意図的な演出がされているべきだったのではないか。

キリスト教の扱い(抗議デモのシーンの牧師のセリフなど)、結局解決は全て弁護士の手でなされてないか、ラストで夜に電話がかかってきて警察に向かった時は昼間じゃん!とかが気になった。

アンジェリーナ・ジョリーは好印象。見た目は白く痩せているが、息子を探し抜く、決してあきらめない、芯の強さを持つ女性を好演。顔のパーツとその動きの大きさの力がある。ラスト付近、事件後の、ひとつ突き抜けた姿がまた美しい。

予告編