わかりやす過ぎる!〜オアシス

個人的に理想ともいえる映画的体験だった。この「わかりやす過ぎる」物語性!


オアシス [DVD]

オアシス [DVD]


先日見た「シークレット・サンシャイン」(そのときのエントリはこちら)が素晴らしかったので、DVDで見たのだが。。。イ・チャンドン監督、凄いわ。観てる間も唸りっぱなし。「わかりやすい」から唸ってしまう。もちろんありきたりな脚本だから、という訳ではない。あまりに展開が自分の好みにすぎるのだ。様々なエピソードが出てくるのだが、それぞれ印象的でインパクトの強いエピソードにもかかわらず、自分の中で全く違和感がなく、ど真ん中に入ってくる。

不器用で、馬鹿で、みじめで、かっこ悪くて、わがままで、自分勝手で。現実は残酷で、周囲は決して自分のためにあるわけではなくて、自分のことなんか当たり前に理解してもらえなくて。でも、いいこともあったり、期待したり、相手のことを考えたり、好きになったり、喜ばせるために頑張ったり、同じことを思ってるんじゃないかって感じたり、今二人は世界でいちばん素敵で、幸せだって思ったり。

2002年製作。第59回ベネチア国際映画祭にて、監督賞、新人演技賞、国際批評家協会賞を受賞。

参考として、wikipediaへのリンクはこちら→オアシス(映画)

以下ネタばれあり


さて、一息ついて考えると、論点はたくさんあるわけですよ。でも、意外なことに(意外じゃないのかなぁ)批判的なレビューがあまり見受けられない。絶賛。障害者側や女性からの批判があっても良さそうな気もするんだけどなぁ。これ、だって完全に「男」が作った映画でしょう。あとラストも不満。だって女は男が逮捕、服役していることに自責の念を抱くはずで、男の出所を待ちながら、呑気に獄中と文通するか?きれいにまとめることは譲るとしても、だったら女が頑張って、男が誤認逮捕を逃れる話の方が良かったんじゃないかなぁ。だって女は意思疎通が全くできないわけではないわけだし。さらに、でも結ばれない、という結末だったら個人的には最高。