チェイサー

力の入ったサスペンスだった。主役のキム・ヨンソクの男くささ、テンションの高いアクション、そしてそれを取るカメラがいい。次に何が起こるのか、緊張感も途切れなかった。佳作だとは思う。

ただ、脚本にもうちょっと納得感があれば、とは思った。特に警察関連のエピソードは、警察が間抜けすぎて正直白ける(なぜ、周辺の住宅をしらみつぶしに探さないのか、なぜ釈放するのか、なぜ有効な証拠を挙げられないのか、なぜ通報のタイミングで警察が寝ているのか、など他にもたくさん)。また、犯人の無差別殺人犯としての造形も、もう少し練られてると良かった。“何もない”を描くにしろ、“底知れぬ闇”を描くにしろ、“壁の絵”だとか、キリスト教だとかエピソードが陳腐。もう少し細かい、何気ないエピソードで、本人の内面や本質を浮き立たせ、ぞっとさせるような脚本だと良かった。

ちなみに女刑事(これも、なんで顔が割れている人間に尾行させるのかと思ったが)と子役の女の子がかわいくて良い。

2008年、韓、125分。監督、脚本:ナ・ホンジン、出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ 他

予告編