未来を写した子どもたち

「悲惨な生活の中の唯一の希望、それが写真だった!」とか、大仰な感想は抱かなかった。映画としての出来にも起因する面はあるのだろうが(ドキュメンタリー映画にドラマを期待する方が間違い)、多分そこに映っていたのが、自分の生活と地続きと思える、とある場所での「日常生活」だったからだろう。売春窟という特殊な場所(でもこういう場所は程度の差こそあれ、ないわけではない)ではあるが、そこで人によって日々の暮らしが営まれるからには変わらない風景があって、その風景の中で、その年齢を考えると驚くほど深く、生きることを見据えた視点を持ちながらも、屈託のない笑顔で写真を撮りあう子供たちを見ると、悲惨ではあるのだろうが、可哀そうっていう感情が湧かなかったし、それでいいような気がしている。子供たちのその後についても、妙なリアリティがあって、フラットに見れたな。

女性カメラマンのこうした試みに意味があるのかどうか、焼け石に水なのではないか、ということは、映画の中で本人自身も煩悶する問題である。個人的には、大げさに天下国家を語るようなことよりも、今目の前にいる、その人を助けたいっていう動機からの行動に好感を持てた。それが相手にとっておせっかいで、結果として軋轢が起こったとしても、それが、そしてそれを両者の間で解消していくプロセスこそが、人と関わるってことだよな。

2004、米、85分。監督:ロス・カウフマン、ザナ・ブリスキ。

予告編