坂田明&ちかもらち、ジム・オルークと恐山/内乱の内覧 2008@新宿PitInn 2008/10/3

何かが乗り移ったかのようにギターの弦をかきむしるジムを見ながら、僕の音楽遍歴における、ここ10年以上にわたる彼の音楽とのあれこれを思い出していた。

ご多分にもれず、僕がジム・オルークを聞くようになったのはシカゴ音響派が注目され始めたときで、入口はガスター・デル・ソルだった。ガスター・デル・ソル解散後のジムのインスト、ボーカルもの、その後関わり始めたソニック・ユース、ウィルコ、全て今でも愛聴盤だ。

彼が関わった音には、一聴してそれとわかる鳴りがあって、当時それが新鮮だったわけだが、一方で、それは素朴で人懐っこさを感じさせるところがあった。おそらく、他の大部分の、いわゆる音響派、およびその系譜の音楽に興味を持てなくなった後も、僕が彼の音楽を聞き続けてきた理由はそこにあるんだと思う。彼が日本で生活を始めたと聞いたとき、驚いたけど、意外ではないというか、言われてみれば、なくもないかもなと思ったのも同じ理由かもしれない。

ここ数年は彼名義の音楽から遠ざかっていたが(とはいえ、間接的にはルース・ファー、細野さんトリビュートなどを聞いてるのだが)、ジャズを聞くようになり、辺りを見回してみると、そこにいたのはまたもや彼だった。

ああ、やっぱり、彼の音楽とは、これからもずっと縁があるのかもな、と、彼の変わらないカーディガン姿を見ながら思ったのだった。


さて、今日の演奏である。悪くはなかったが、特別良かったかと問われると、正直よく分からない。水準をクリアしていることはわかるのだが、僕はフリーを好んで聴くわけではないので、それ以上は聞く側のコンディションにも依るのだろうな。

坂田明(As,Cl,Voice)、ジム・オルーク(G,Syn)、ダーリン・グレイ(B)、クリス・コルサーノ(Ds)

以下にジム・オルーク絡みで好きなアルバムを並べてみたが。うーん、普遍的な魅力のある名盤ばかり。彼を同時代に聞けてきてラッキーだったなぁ。


Camoufleur

Camoufleur

Bad Timing

Bad Timing

Insignificance

Insignificance

Murray Street

Murray Street

Yankee Hotel Foxtrot

Yankee Hotel Foxtrot