男の子のための『花より男子』特集!〜ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル 2008/9/20

声高に人に薦めるのも大人げないのでしょうが、刺さる人は確実にいると思うので、おすそわけの精神で。

花男」は、自分勝手な欲求を無条件に肯定してくれるという意味で、"女子"にとってのポルノ(P.O.R.N.O!w)。しかも社会的な倫理感・正義感に反する欲求を実現してくれるという意味でレイプものに近いとすら言える。

男がそういったポルノを見ることは世間的に後ろめたいこととされており、見ている本人も、大抵の人は、それが社会的に受け入れられないことを自覚している。だから、そういった趣味嗜好は、あくまでも個人の密やかな楽しみであって、表だって楽しむものにはなりえない。

一方、「花男」は、女性の密やかな趣味としてではなく、好きであることを公言しても問題ないものとして社会的に認知されており(正確に言えば、大抵の男性は「花男」がポルノであることを知らないので、女性の中では、というべきだろうが)、さらにそれが一部の人の特殊な嗜好などではなく、映画入場者が延べ500万人に達するほどの多数派の支持を得ているって、、、どういうこと?みたいな話。

これが意外なこと、糾弾したくなること、っていうのは、宇多丸自身が言及する通り、女性の"聖性"みたいなものを信じたい男性のロマンティシズム(という名の都合の良い幻想)だよなとか、単に社会規範として浸透しているかどうかの違いであって、本来的な自分勝手さは、男女でそれほど差がないよな、とか聞きながら相対化しちゃうんですが。まぁ、おもしろいっす!

追記

でも、レイプものって話は、男のそれが社会的倫理に反すること、レイプそのものが好きってことなのに対し、女のそれは、イケメンでお金持ちで、加えて常に自分のことを好きでいてくれれば(って、書いてて腹立つなwまぁ、男向けの都合のいいアニメ、アイドルに女性が抱く嫌悪感とまったく同じなんだけど)、反社会的な最低野郎でも好きになれてしまうっていうことなので、構造は同じではないんだよな。

実際、男女を入れ替えてみたときに、そんなひどい女に男が引かれる物語って、いい話としては成立しないだろうと考えると(バカの悲しい話、気持ち悪い話としてはともかく)、男女の非対称性はある。「女性は個人的な生き物、男性は社会的な生き物」論の1ケースなのだろう。