ハードエイト

DVDで。PTA作品を立て続けに見ているが、本当に最初からスタイルのある人なのだな。わかる、わかるよ。どちらかと言えば大好きよ。でも、スマートすぎて、そして思わせぶりな場面が多すぎて、つい、これって手放しで支持していいのかって気持ちになる、なんとも面倒くさい作品(であり監督)。



1996年、米、101分。監督:ポール・トーマス・アンダーソン。出演:フィリップ・ベイカー・ホールジョン・C・ライリーグウィネス・パルトロウサミュエル・L・ジャクソン 他。

エピソード、セリフ、画面と、いちいち意味ありげ。見てる方は、「これは何の暗示だろう」「これは伏線として覚えておかなければいけないのか」と、物語の間中、答えのない問いを常に頭のどこかしらで気に留め続ける羽目になる。しかし、最後まで何が何だかわからない、ぼんやりした話というわけではない。冒頭から提示され、結局のところ物語中最大の疑問に対しては、これ以上ないほど分かりやすく、切れ味鋭い演出で答えが提示される。なので、難解な雰囲気を漂わせておきながら、結果だけ見ると、物凄く単純な話でもあるっていう、このメリハリ。文芸的な空気を漂わせながらも、単なる雰囲気映画に堕することのない、エンターテイメント性。これを監督が知的にコントロールしている。そうなったら、「この思わせぶりな画面は本当に意味あるのか」「この行動の動機って本当にリーズナブルなのか」と疑いたくもなるよな。しかも、思わせぶりな演出も、前述の最大の謎を盛り立てるための、お膳立てとして必然性があるっていう。うーん。