贅沢な時間〜カエターノ・ヴェローゾ「粋な男」ライブ(DVD)

映像、訳詞が加わることで、「粋な男」の唯一無二な世界がますます魅力的なものに。贅沢な時間であることよ。



カエターノの名盤「粋な男」が出た直後、1995年、リオでのライブを収録したDVD。

CDは当時出て、DVDも輸入盤は前からあったのかな。日本盤は、今年の初めにUPLINKから出て、字幕付きということで、是非見たかったもの。全16曲。CDには未収録の「南へ帰る」「想いあふれて」「レオンジーニョ」等も収録。輸入盤では、日本盤より6曲多いバージョンもあるらしい。演奏が中心で、MCは1シーンしかないが、またそこが絶妙な内容でニヤリとさせる。

カエターノ・ヴェローゾ「粋な男」ライブ
http://www.uplink.co.jp/veloso/

まず、カエターノの表情が豊かで魅力的。曲に重なるように瞬時に表情が変わっていく。特に悲しみの歌での深い表情の美しさったらない。また、一つ一つの佇まいが絵になる。独特なダンス、ちょっとした仕草、指先の滑らかな動き。音楽と同様、上品な色気とともに茶目っ気が溢れる。

また、今回初めて歌詞の内容を理解しながら聞いた。これが、音を裏切らない素晴らしさ。恋愛をテーマとした歌は、詩的で古典的な美しさをたたえている。一転、「ハイチ」など政治的なテーマをもつ歌では、対象を直接的に攻撃するのではなく、皮肉や暗喩に満ちた、知的だが鋭さのある歌詞。政治亡命していた過去を思い起こさせる。

カエターノのライブを見るのは、これで2回目だ。初めて見たのが、もう10年以上前か。1997年、カエターノ2回目の来日の時、「粋な男」のライブだったんだよな。MCを聞きながら、その時のことを思い出した。


粋な男

粋な男

”粋な男”ライヴ~イン・リオ

”粋な男”ライヴ~イン・リオ