速水健朗「ケータイ小説的。」
現在の文化状況の一つの魅力的な「仮説」。でも仮説は仮説、だよな。
- 作者: 速水健朗
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2008/06/09
- メディア: 単行本
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社会学的、実証的なものではない。データで裏付けていくスタイルではない。影響を与えたとされる作品・歴史的経緯や、社会学的な成果も含めて多数の引用がなされるが、その引用の妥当性はよく分からない(作者が恣意的に選択したわけではないことが、本書だけからは判断付かない)。本書の肝であろう、誰が読んでいるのか、なぜ読まれているのか、については、まず実際の読者への取材がなされてしかるべきと思うが、本文中では触れられていない。読者像は、テキストからプロファイルされていくだけだ。それもあって、結局読者の具体像が良く分からない(年齢層すら。筆者自身、全般的にあまり取材を行っていないと述べている→こちら)
全体的に「それっぽい」(妥当な主張に感じる)のだが、でもこの印象は違う文化圏(都市、オタク?、少年?)の人間の直感であることを振り返ると、上記の件もあり、いまいち素直に受け取れないのが正直なところだった。
他の人のレビューでは、郊外、ヤンキー文化とアメリカの田舎、キリスト教福音派との相似を見る深町先生のがおもしろかった。でも、これも印象論な気がしなくもない。こういうのさぁ、社会学者さんがキチンと仕事してくれよ(そして、それを社会に還元してくれよ)と思う。
2008-06-09 文字通りのヤンキー化 速水健朗「ケータイ小説的」
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20080609