言葉が出てこない〜シークレット・サンシャイン

お薦め。できれば映画館で見ることをお薦めします。言葉、そして看板の文字以外は日本とほとんど変わらない、ちょっと古びた、どこにでもあるありふれた風景に包まれるから。そしてそこで展開する主人公たちの表情を直視せざるを得ないから。

ものすごい良くできた仕掛けで成り立っている映画ゆえ、ネタばれになりやすく、なかなか伝えずらい。簡単に言えば、大きい悲劇に直面した人間に救いがあるか、さらにその局面における宗教が果たす役割とは何か、がテーマ。ありがち、また場合によっては安易なカタルシス提供に陥りがちなテーマだが、作り手の踏み込み方が、真正面から誠実に、慎重に考えられていて、観客に対して挑戦的ともいえるエピソードの連続に、見ている間も、うーん、うーん、と唸りっぱなし。それはラストに至るまで徹底しており、見終わった後も軽々しく言葉が出てこなかった。

2007年、韓国、142分。脚本・監督イ・チャンドンチョン・ドヨンソン・ガンホの好演も光ります。