ワイルド・アパッチ(Ulzana's Raid)

DVDで。なるほど。宗教的で一面的な正義、倫理を疑わない若者が直面する、人の多様性、生きていくことの不条理、決断の重さ。それらを運命として体験的に受け入れ、でもその現実を力強く生きていく熟練の兵士、アパッチとの対比。確かにアンチ・カタルシスな映画である。佳作。

先週のタマフルのシネマハスラーで、リスナー枠として紹介されたもの(推薦者は「バンビーノ」のせきやてつじ氏)。人は死にます!

1972年作。監督はロバート・アルドリッチ。そこには背景としてのベトナム戦争があり、アメリカン・ニューシネマ的な無力感、徒労感が漂う。何も解決しないのだが、現実から目を背けない、思考停止に陥らないっていう意志であり、そこに誠実さを感じるなぁ。

ちなみに原題の「Ulzana's Raid」は「ウルザナ*1の襲撃」という意味です。

(参考)
ワイルド・アパッチ
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tatuki/m-ulzanzsraid.html


*1:居留地から逃げ、白人を襲う敵方のアパッチね