「河童のクゥはこんなことを考えながら作った」〜『河童のクゥと夏休み』DVD発売記念トークショー@杉並アニメーションミュージアム 2008/6/7
監督の原恵一氏のトークショーに行ってきた。入りは定員50人に対し7割ぐらい。
既存のアニメの演出が幼稚で嫌だった、映画、本作では特に昔の日本映画を意識した、といった主旨の発言が印象的。まだ日本のアニメで表現できていないことはたくさんある、とも言ってたなぁ。本作を見ると、確かに作品の説得力、深みを出すための演出に、相当なこだわりがあることは様々なシーンで気付かされるし、実際効果的だったと思う。だって、最初はあれだけ地味な人物像や、可愛いと全く思えなかった造形のクゥが、時間が進むにつれ、どんどん魅力的に見えてくるのだから。
監督が薦めていた日本映画は、黒澤明「七人の侍」、小津安二郎「東京物語」、木下恵介「永遠の人」「野菊の如き君なりき」でした。
ちなみに「河童のクゥと夏休み」を見ていない方。いわゆるアニメ好きでない人も見れる良作です。監督は、一般映画ファンにも高く評価された「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」を手掛けた方。何気ない日常の演出、因果関係に破綻がない脚本(むしろ破綻が無さすぎるくらい。エンディングまでいくと、そこまで描き切るかとお腹いっぱいになる)などが秀逸。児童文学が原作ですが、いじめ、暴力(含むマスコミ報道)など今日的、社会的な問題も織り交ぜられ、大人の鑑賞に堪える作品です。2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、キネ旬ベスト日本映画第5位など受賞も沢山。お薦め。
<参考>
2008-04-28 「河童のクゥと夏休み」原恵一監督インタビュー−AYS:
http://d.hatena.ne.jp/AYS/20080428
菊池紗代子は、つげ義春「紅い花」から。河童をネイティブアメリカンのような少数民族にダブらせていた。など。
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