ヒア アフター ★★★☆

良かった。まずこの読後感がイーストウッド。ルックだけ、音楽と画だけで、生理的ですらある快感がある。話的にも、一見、最初の津波のシーンの派手さが目につき、後の話が地味にも見えるが、3人の物語を集約させる構造でラストにしっかりカタルシスが用意されている。小さいエピソードも効いているし、大上段なテーマ設定をせず、緻密に構築されすぎていない、適度に肩の力の抜けた脚本も良い。佳作。

トゥルー・グリット ★★★

期待が大きかっただけに残念。なんだろう、見終わっても何も残らないんだよな。物語としての筋は最低限通っているんだが、物語としての核が感じられない。3人の登場人物も、それぞれに成長していい物語な気がするんだけど、そういう面がほとんど見られなかったし。

悪い男 ★

見てる間、胸糞悪くてしょうがなかった。特に甘ったるい音楽が腹立たしい。監督インタビューで男の妄想を映画にしただとか、娼婦の人生の中にも喜びはあるとか、わかるっちゃあ、わかるし、主人公が唯一しゃべる場面のカタルシスとかもわかるんだけど、甘い演出、きれい事にする演出を冷徹に避けるべきだったんじゃないかな―。中途半端な点は付けたくないので星1つ。